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Gap Last

ドン!!

突然、何かの衝撃が白い服の男を襲った

男は、自分に何が起きたのか

まるでわからなかった

なぜか、頭の後頭部に痺れを感じる

それが次第に、痛みへと変化して行く

男は自分の後頭部を触ってみた

触れた場所は激痛を感じ

手には赤く、ぬるっとした液体が

ベットリと付着していた

「な・・・何だコレ・・・」

そう言って振り向いた男の後ろに

鉄のボンベを両手で持った女が立っていた

ボンベは、赤く濡れて光っている

「ど・う・し・て・・・」

女の口から、かすれる様な声が聞こえた

そして、ボンベが男の頭上に振り上げられた

「ひいっ!」

男は悲鳴を上げたが、その声は

頭を殴る鈍い音でかき消された

女は、何度もボンベを振り下ろした

どうして、どうしてと言いながら・・・

『どうして、どうして、どうして、どうして

どうして、どうして、どうして、どうして

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

女は、動かなくなった男を見ていた

虚ろな瞳だった・・・

自然と力が抜け、手に握っていたボンベは

床に落ちて転がった

「どうして、どうしてなの・・・」

女は、ふたたび同じ言葉を口にした

「どうして、あの家は要らないなんて・・・

あんな家は必要ないなんて言うのよ、純一さん・・・」

その哀しげで虚ろな瞳からは

絶望の涙が止め処なく溢れていた・・・    

                          END

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Gap 28

白い服の男は、思い通りに行かなかった

実験の結果を嘆いた

「だが、まだ実験は始まったばかりだ

もう一度データを解析し直して・・・」

そう思った次の瞬間、白い服の男は

自分の目に映った光景に驚愕した

「い・いない!!」

そこで、ベットに寝ているはずの

容疑者Aの姿がないのだ

「ば、馬鹿な!? 薬は大量に投与してあった

意識が回復するハズがない!

しかも手足を拘束していたハズだ」

よく見ると、ベットに手足を拘束していた

パンドが引き千切られている

脳と直結していたコードも、途中で切れていた

普通の女性に、こんな事が出来る訳がない

「新薬の影響で、脳内のエンドルフィンが

大量に分泌されたとでも言うのか?

しかし、それでこんな怪力が出る訳がない

これは一体・・・?」

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Gap 27

「そんなに、焦る事はない」

市長は、白い服の男の肩に手を掛けて言った

「まだ実験は始まったばかりだ

今後の展開に期待しているぞ」

「ありがとうございます・・・」

白い服の男が深く頭を下げた

「市長、今回の実験にご理解と協力をいただき

本当にありがとうございます」

所長も市長に対して深々と礼をした

「この実験が非人道的な事であるのは

十分理解しているつもりでおります

さらに裁判となれば、容疑者は心神喪失から

無罪になる可能性がある事も承知です

ですが、近年異様に多発している

あまりに理解不能な凶悪事件を防ぐには

今回のような・・・」

「わかっているよ、所長」

市長は、所長の言葉をさえぎった

「これ以上、この都市の犯罪率が上昇し

悪いイメージを持たれても困るからな・・・

さて、そろそろ我々は退散するとしよう

君、引き続き実験を頼んだぞ

吉報を待っているからな」

そう言い残し、市長と所長は

白い部屋を出て行った・・・

白い服の男は、ベット脇に置いてある

パイプ椅子に腰を下ろし

「ふぅ、一体何がダメだったのだ?

実験は理論的に完璧のハズだ

やはり与える情報を急ぎすぎたのか?」

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Gap 26

「そこまでは成功したのだな?」

市長が言った

「ハイ、読み取ったデータから

容疑者Aの動機を探ろうとしましたが

データ量が膨大な上に深層心理は複雑で

断片的な情報を得るのが限界でした

そこで方針を変更しまして

コンピューター内に現実を模した

擬似的なバーチャル空間を作成し

脳と直結した容疑者Aの意識を誘導して

得られた情報を小出しに与える事によって

本人自らからに事件の動機を

解明させる事に致しました、ですが・・・」

「それが失敗したのだな?」

「申し訳ありません・・・

結果を急いだあまりに、急激に情報を

与えすぎてしまったのが原因なのか・・・

結局最後はナビゲーター役であった

自分のダミーを殺害すると言う

現実の容疑者Aと同様の

異常な行動に陥ってしまいました」

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Gap 25

白い服の男は、部屋の中央にあるベッドで

眠る女性の元へ、二人を誘導した

女性の頭にはヘッドギアが装着され

何本ものコードが、別の機械と接続していた

「自分の婚約者を殺害し、遺体を木の下に埋めて

遺棄した犯人の女性を逮捕しました

ここに眠っている犯人の

・・・容疑者Aと呼称しますが

指紋やDNA鑑定、また状況証拠から

容疑者Aが被害者を殺害した事は確実です

ですが、逮捕された時の容疑者Aは

完全な心神喪失の状態で

精神に異常が認められ、まともな取調べが出来ず

なぜ婚約者である被害者を殺害したのか

その動機がまるで判明しませんでした・・・」

「フム・・・」

「そこで、以前より研究中であった未認可の

新薬を使用し、コンピュータと脳を直結させる事で

犯人の深層心理を読み取る事に成功しました」

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Gap 24

白い壁で囲まれた部屋の、真っ白なドアが開き

ドアの外から、二人の男が中に入って来た・・・

「どうかね、様子は?」

入って来た男の一人が、部屋の中に居た

白い服の男に話し掛けた

白い服の男は、気まずそうに答えた

「申し訳ありません、署長・・・

1度目の実験は失敗したようです」

「そうか、ダメだったか・・・」

署長と呼ばれた男は、隣にいる小太りの男に言った

「市長、申し訳ありません・・・どうやら今日は

吉報をお聞かせする事が出来なくなりました」

「それは残念だな・・・」

市長と呼ばれた男は、ため息まじりにつぶやいた

「君、もう少し詳しい状況を説明してくれないか?」

市長は白い服の男に尋ねた

「わかりました、どうぞこちらに」

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Gap 23

部屋の隅に、何かが見える

あれは、高校のクラブで使っていた

テニスのラケットだ

襟首を握る女を振りほどいて

ラケットを手にし、ソレを女の頭に振り下ろす

『ドカッ・・・!』

鈍い音が部屋に響いて、私の視界は赤くなった

「ア、アンタ・・・また・・・」

女は何かをつぶやいた

またラケットを振り下ろす

・・・なんだろう、この感覚・・・

・・・前にも経験したような・・・

あの時も、何度も何度も振り下ろした

今のように、何度も何度も・・・

どうして、どうしてと言いながら・・・

『どうして、どうして、どうして、どうして

どうして、どうして、どうして、どうして

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

また、頭がボゥとして来た

目の前に、誰か倒れてる?

よくわかんない

朱色でキレイ、あの日の桜も

こんな色だったナ・・・

私は、お家に帰らなくちゃ

たいせつな、たいせつなお家に♪

お父さんが待ってるの!!

お母さんが待ってるの!!

たいせつなの、たいせつなの・・・♪

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Gap 22

「この人殺し!!」

ヒト・・・ゴロシ・・・?

・・・・・・・・・・・・・

私が・・・人殺し・・・?

・・・急に頭の中が熱くなって来た・・・

誰かの声が聞こえる

男の人の声だ

『ヤメロ! オマエ・・・、グァッ、ナ、ナンデ・・・

脳裏にヴィジョンが浮かんだ

飛び散る赤い色

倒れている男性・・・

頭から血を流してる

冷たくて、もう動かない・・・

誰なの、この人は?

純一さん・・・?

コレは夢だわ・・・

こんなの現実じゃない

こんなコトは、あってはいけないの

ここにあるコレも、すべて幻だわ

すべてが嘘なのよ・・・

幻は、消してしまえばいい

すべて消してしまえば良いのよ・・・

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Gap 21

「いいえ、嘘でも冗談でもないわ・・・

純一さんは誰かに殺されて、ワタシたちの

思い出桜の下に埋められていたわ」

「馬鹿を言わないで!

あの桜の下に、死体なんて埋まっていなかったわ」

「当たり前よ、もうすでに遺体は掘り起こされた後だもの・・・」

「そんな、だったらなぜ私に何の連絡もなかったの!

婚約者の私に、どうして誰も何も教えてくれないのよ!」

「それは、アナタが知ろうとしなかったからよ」

「違う、私は彼を探してた!!

ずっと、ずっと純一さんの事ばかりを考えて

心が不安で一杯だったわ」

・・・何?

? 何かしら?

急に頭の中が、何か・・・

「その不安は、純一さんを心配しての不安じゃなかったハズよ

もっと恐ろしい、自分の罪の不安だったのでしょう?

だからあなたは犯した罪の恐怖から逃げて

すべてを忘れて拒絶したのよ!!」

・・・え? 何を言っているのかしら・・・この人は?

・・・誰だったっけ? この人・・・

「返してよ!、ワタシの純一さんを返してよ!

どうして! どうしてあんな事をしたの!!

どうして!! どうして純一さんをっ!!」

・・・この女・・・私の胸をつかんで・・・

・・・何を喚いているのよ?

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Gap 20

涙を流す私の姿を見て

目の前に居るワタシはため息をついて言いました

「そう・・・、あなたがどうしても思い出さないのなら

仕方がないわ、本当はあなたが自分から

思い出して欲しかったのだけれど・・・」

ワタシは、私に指を差しました

「いいわ、真実を教えてあげる!

とても辛い本当の事をね・・・」

「な、なんなの・・・」

聞いてはいけない!

でも真実を知りたい・・・

私の心は葛藤で揺れていました

「いい? よく聞いて

純一さんは、もうこの世に居ない・・・

死んでしまったのよ、それも誰かに殺されて!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!

目の前が、真っ暗になりました

嘘よ、そんなの・・・

純一さんが死ぬ訳ないじゃない!

悪い冗談だわ!!

デタラメよっ!!!

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